2015年4月アーカイブ

サクラが咲いたかとおもったら散ってしまった。
短い命であった。

毎年サクラは咲く。しかし、
今年花をひらいたサクラは去年のサクラではない。
そして来年もまた違う花をひらく。

四季は繰り返される。
だが、一度として同じ風景はない。

風景は個々人の感情とともにある。
卒業式の日、あるいは入学式や入社式のときに見たサクラは
そのときの一回きりのものであっただろう。

人生は1日あるいは1分1秒が一回性のものであり
二度と同じ時間が繰り返されることはない。

刹那は繰り返されることがないから
せつない。

そのせつなさを抱えながら
ぼくらは先に進むしかない。

時間を巻き戻すことはできない。
人生にやり直しはない。
あるとすれば、まったく新しい人生をはじめることだ。

自分の人生を生きよう。ていねいに。

今年のサクラを記憶にとどめておくために
いくつかぼくの拙い写真を。


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新入社員の姿に混じって
真新しいスーツに身を包んだ就活の学生をみかけるようになった。
なんとなくぎこちない所作も感じるけれど
真剣なまなざしが、いい。

就活に関しては、ちょっと古いのだが
こんな記事を読んだ。

経済の死角
「この国はきっと滅びる!就活のバカたち 学生もバカなら、面接官も大バカ」

もちろん実際に、そういう状況はあるだろう。
しかし、こんな記事を書いて煽るマスメディアがいちばん愚かだ。

批判だけで、どのような国にすればいいのか、
未来を構想する思想がない。空っぽだ。
だから「マスゴミ」と呼ばれるのだ。

こんな記事に同調したり、憤ったりしていることこそ
バカらしい。ゴミはゴミ箱にぽい、だ。

不安を感じるひとがいる。
そして、不安につけこんで食い物にするひとがいる。
さらに食い物にされて大金をはたいて、表層ばかり繕おうとする。

面接で「1億円もらったらどうしますか?」という問いをする企業が多いようだが
グーグルやマイクロソフトなど外資系の大手企業の面接で使われる
「全国にピアニストは何人いますか?」という
フェルミ推定のような論理的思考力を問う質問の
さるまね
だと考える。


4492555986地頭力を鍛える 問題解決に活かす「フェルミ推定」
細谷 功
東洋経済新報社 2007-12-07

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ところが、思考力を問うのではなく、
ただ夢を語らせるだけの内容になっているところが陳腐だ。
こんな質問をする面接官の低レベルさを
学生たちは失笑して構わない。

もし面接でこんな質問を出されたら
「御社は一流の企業だと考えて志望いたしましたが
そんなくだらない質問をされるとは思いませんでした。
失望いたしました。志望を辞退させていただきます」

といって、その場で席を立つぐらいでいい。

そんな面接をする人事担当者のいる会社は
たかが知れている。だいたい無能な上司がのさばっていて
仕事ができないのに雑談ばっかりしていたりする。

「おい、宝くじ当たっちゃったらどうする?」
みたいに仕事の努力は放棄して、ギャンブルみたいな夢ばかり
追いかけている会社だろう。

どんなに著名企業でも、そんな会社に勤めたら
人生のムダ遣いなので考えたほうがいい。
ブラック企業よりタチが悪いのは、大企業病に蝕まれた会社だ。

とにかく、自分が迷子になっているひとが多すぎる。
その迷子につけこんで、就活本やらセミナーやらで金を稼ごうとしたり
迷って悩んでいるひとに媚びて若者から人気を得ようとするような
ハイエナみたいな輩がわらわらと湧いている。

自分なんて探さなくても、ここにいるでしょ。

ぼくの私見に過ぎないが
述べておこう。

人生、あるいは就活において大切なことは
自分探しではない。他人探しだ。

部活やサークルでリーダーやっていましたとか
海外でいろいろと学びましたとか
そんなことはすべて「過去」の実績であり
クズみたいなものだ。

大切なことは、未来に何をしたいか、どんな人生を生きたいかということであり
そのヒントは自分ではなく他者、そして他人のなかにある。

抽象的でわかりにくいとおもうので
具体例を挙げてみる。

自己研究は最低限、過去の経歴の整理だけしておいて
志望先の「企業研究」および「業界研究」に注力するのである。

当然、社会経験のない学生たちには難しいだろう。

しかし、志望している企業で、
あなたたちは人生の大半(あるいはわずかであっても数日)を
費やさなければならない。

自分にふさわしい職場なのか?ということを
リスクも含めて研究する。

経験がないからこそ「想像力」が求められる。

企業のドメイン(主な事業領域)は何か。
業界全体において志望先企業のポジションはどこにあるのか。
志望先企業は成長性があるのか、安定性があるのか。
女性であれば子供が生まれても働けたり育児後に復帰できる環境にあるのか。
そんなことに想像力を働かせる。

尊敬する稲盛和夫氏は、新規事業や新製品の開発にあたって
寝ても覚めてもそのことを考え続け
完成形が「カラーで」見えるまで考え抜くことが
重要である
と説かれている。

KDDIの事業をはじめるときにも
「うまくいかない」という批判に動じずに
明瞭にイメージを描いたからこそ実現したと述べられている。

就活のために宴会芸みたいなスキルを磨いたり
芸能人みたいに写真加工で美白に注力していないで
自分ではなく、社会そして世界に目を開きなさい
と、ぼくは言いたい。

というのは、ぼく自身が狭い視野しか持っていないこと
無知であることを常日頃、深く自省しているからだ。

就活は
社会を知るためのいい機会だ。
もちろん内定を取ることは大切なことだが
内定がゴールではない。
そこからハードワーカーとしての長い長い生活がはじまる。

だから、社会を知るチャンスとして就活を
「利用」しちゃえばいい。

社会に出ると当然、競合他社を訪問することなんて難しくなる。
ところが、就活の時期なら縦横無尽にさまざまな企業に出入りできる。
それぞれの企業を訪問して感じたこと
面接官がお話いただいたことは
大きな「学び」となるはずだ。

「知性とは、どんなにつまらないものからも
ダイヤモンドをみつけだす能力」

ともいえる。

あなたが訪問先企業をつまらないと感じたら
もしかすると、あなたがつまらない人間だからかもしれない。
自分の感性が劣化しているのか、ほんとうに訪問先企業がつまらないのか
そのことを深く考えるだけでも成長の契機になる。

018_s.jpg大学を卒業したら勉強はおしまい、
というのは大きな間違いで
実はそこから勉強は、はじまる。

社会人として、日本人として、
世界の一端を担うひとりとして。

人生は、学びの連続だ。
無知であり続ける限り成長もある。

就活する諸君にエールを送りたい。

うまくいくといいね。
でも失敗しても、きっとあなたは大丈夫。

(外岡 浩)

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