[音楽] SOARING / Raven

Raven
SOARING
Raven
曲名リスト
1. where's the light
2. with green
3. vega
4. darksea
5. circus
6. 雨の日
7. Raven
8. cage
9. west
10. e.g.
11. wind

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SOARINGとは「soaring[sɔ́ːriŋ]【形容詞】舞い上がる、雲にそびえる 【名刺】帆翔、ソアリング、飛翔、屹立」とのこと。なるほど、それで翼がアルバムのデザインのモチーフになっているのですね。BirdWingというハンドルでブログを書いているぼくは、とても親しみを覚えました。公式サイトの http://birdwindsky.jp/ というURLも素敵です。

新宿タワーレコードのインストアライブに行ったあとに購入したファーストアルバム「Raven」。ユニットの名前の由来などをあらためて知り、ますますおふたりの音楽が気に入りました。セカンドアルバム「Kijyaku」から聴き始めたのだけれど、セカンドはポップス的に突き抜けた感じがあるのですが、ファーストはエレクトロニカやフォークトロニカの「通好み」の音作りではないかとおもいました。「某大型CD店では1店舗だけで数百枚を超えるセールスを記録するなどスマッシュヒットとなったデビューアルバム」とototoyで書かれているのもわかる気がします。

セカンドと比較するとかなりアコギがフィーチャされていて、全面的にアルペジオやカッティングが聴こえる。その音色のきらめきは、どこかEpic45 あたりに通じるキラキラ感があります。また、4曲目のイントロ部分のシンセパッドのひろがり具合などはウルリッヒ・シュナウスを彷彿とさせていいですね。と、自分の好きなエレクトロニカのアーティストに引きつけてしまうのもどうかとおもうけれど、洋楽インディーズの雰囲気があるところがとてもいい。

汚し系の音から入って、中近東系というかアジア系のヴォーカルに展開する5曲目「circus」はChilさんの力量発揮という楽曲で、これもまた「通ごのみ」というか、エレクトロニカを聴き込んだひとに評価される曲ではないかとおもいます。あるいは海外で評価されそう。楽曲の引き出しが多いなあ、と感じました。

しかしですね、あえていいたい。技巧ではないのだな、SOARINGのよさは。

正直に書いてしまうと、ぼくはもう何十回と「Raven」を聴いているのだけれど、何度聴いても6曲目の「雨の日」で泣いてしまう。これは比喩でも何でもなく、ほんとうに泣いている(実はいまも聴きながら涙が零れているわけで)。この曲は英語のタイトルが付けられたアルバムのなかでは唯一、日本語のタイトルが付いている曲です。インストアライブでも、セカンドからの曲が多かったのですが、この曲だけはチョイス&演奏されていました。

なんてひそやかや曲だろう、「雨の日」は、とおもいます。ささやき系の歌声だから聞き逃しがちなのだけれど、この曲はChilさんの歌詞がすばらしい。たとえばこんな部分。

かすり硝子を指でなぞる
すっととけるように走る 透明な滴

窓の外はいつもより彩られて まぶしいほどに

次の部分の描写も目にはっきりと浮かぶようです。

香ばしい湯気がそっと薫る
穏やかなときへ誘う褐色

ひとつひとつ その息を
凜と吐き出す 競うことなく

季節は冬なのだとおもいますが、雨の日、結露で曇った窓を指でなぞりながら、コーヒーを入れて湯気にほっと和むひとときのしあわせが楽曲のなかから立ち上ってくる。雨を「憂い」ではなく「天からの恵み」と捉える前向きさ。「つかの間の 安息を もたらしてくれるもの」。

ぼくはかなしい歌ではなく、ひそやかな明るさを歌った曲に泣けてしまう。あ、もうひとつ泣ける箇所が「Raven」にはありました。こちらは歌詞ではなくアレンジの空気感に泣けてしまうのだけれど、8曲目「cage」で3分19秒あたりの展開部分。リバースされたギターに鉄琴の調べが乗ってくるところなのですが、ここが泣ける。鍵和田さんのセンスを感じます。

あらためて考えると、SOARINGの楽曲で気に入っているのは、前向きさ、というか、ひたむきさのような部分だとおもう。セカンドで気に入っている「NIGHT PARADE」にもいえるのですが、ずんずん前進していく歌詞であって、それがChilさんの癒やし系の歌声に乗せて歌われると心地よい。

4月29日の渋谷HOMEのレコ発ライブになんとかして行きたいとおもっています。その日はファーストの「Raven」からの曲も演奏するようなので楽しみです。

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