情報を呼吸する5つの大切なこと

「情報を呼吸する」というコトバが浮かんだ。
いいフレーズだ。しかし、どこかで読んだ気がする。

どうしても出典が浮かばないので
ウェブで検索したところ、ジャーナリストの津田大介さんが
『情報の呼吸法』という本を書かれていた。

あ、これ持ってる。


4255006210情報の呼吸法 (アイデアインク)
津田 大介
朝日出版社 2012-01-10

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ところが、雑然とした本棚を探したのだが
津田さんの本がみつからない。

ごく最近に他の本で読んだコトバのような気もする。
まあいいか。

生きていくために呼吸は必要である。
息を止めたら生きていけない。

情報に関しても
実際の呼吸と同じように吸ったり吐いたりするのがいいだろう。

情報の吸い込み=収集(インプット)
そして、情報の吐き出し=話す、書く(アウトプット)
が大事で、その「呼吸」を繰り返すことで
ぼくらはウェブの世界やリアルで生きていく。

しかし、吸い込んでばかりでは身体が膨れて苦しくなる。
吐き出してばかりでは酸欠になる。
情報という空気を「循環させること」が大切。

ぼくらは毎日の生活で
身体的な呼吸を意識することはない。

そんな風に生活の一環として
自然体で情報を吸ったり吐いたりするのが
大切なのだろう。

そこで、気持ちよく情報を呼吸するために
大切なことを5つ考えてみた。


1.吸うよりも吐くことが大事

谷川俊太郎さんと加藤俊朗さんが
『呼吸の本』という書物を出されている。
この冒頭で深呼吸と呼吸法の違いが示されている。


4904507487呼吸の本
谷川 俊太郎 加藤 俊朗
サンガ 2010-01-22

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深呼吸は、大きく吸って吐くのに対して
呼吸法は文字通り、吐いて吸う。
次のような箇所が非常に興味深かった。

「吸う」は「ためる」「ひとり占めする」「執着する」。
一方の「吐く」は「執着を取り払う」「心を浄化する」。
吸うより吐くほうが大事ということはそういうことです。

また、脳神経外科医の築山節さんは
『脳と気持ちの整理術 意欲・実行・解決力を高める』という本で
本や資料や話など「他人の脳の中にある知識」は
書く、話すなど出力を通してはじめて
自分の脳を通したことになると述べられている。


脳と気持ちの整理術―意欲・実行・解決力を高める (生活人新書)
脳と気持ちの整理術―意欲・実行・解決力を高める (生活人新書)築山 節

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つまり、記憶は入力ではなく出力をベースとして
考えたほうがいいというのである。

ぼくらはどちらかというと情報を収集すること
本をたくさん読んだり、ネットの徘徊に注力しがちだが
「書く、話す」というアウトプットが大事なのだ。


2.自分に合った適量・リズム・継続

読書のコミュニティでは、年末に
「年間100冊読了しました!」などの報告が踊る。
ぼくもそれ、やってみたことがあった。

そういう情報をみると
「やっぱりたくさん読まなきゃダメかな・・・」と
焦ってしまうひともいるだろう。

しかしながら、100冊読んだひとが
読んだけれど感想は3行だけ、ということも多い。

つまり読んだことに満足して
アウトプット、つまり吐き出すことができていない。
どこか「目標達成中毒(Goal Achievement Addiction)」になっている
滑稽な印象さえ受ける。

他人は他人、自分は自分。
そんなことで息を乱されてはいけない。

自分に合った適量の情報を収集し、自分のリズムで吐き出し
無理せずに情報の呼吸を継続すればいい。

他人のペースに惑わされそうなときこそ
深呼吸してみよう。
自然体で、あなたはあなたのままで生きるのがいちばん。


3.空気を変える

ウェブばかりで情報を呼吸していると
悪い空気を吸ってしまうことがある。

揚げ足取りと誹謗中傷ばかりの澱んだ空気の場所に
おもわず嵌まってしまうことも。

読書ばかりで文字の呼吸をしてみると
閉塞感に包まれることがある。

ときには音楽を聴いて「耳で呼吸する」
美術館や博物館に足を運んで「目で呼吸する」
家族や友人と話すことで「会話で呼吸する」

そんな風に空気を変えてみるといい。


4.鮮度を確かめる

最先端の情報がすべてよいとは限らないが
情報という空気には鮮度がある。

新鮮な空気を脳に送り込むこと。
そして、話したり書いたりして吐き出すこと。

テクノロジーにしても文化にしても
新鮮な情報には、好奇心を揺さぶられる新鮮な空気がある。
大好きなミュージシャンの新譜にはわくわくする。

とはいえ、情報の鮮度は絶対的なものではない。
たとえば古典をもういちど読み直してみると
真新しい感覚に、新しい風が吹いたように感じることもあるものだ。

つまり、自分にとって未知の領域は
鮮度が高い空気があり、リフレッシュしてくれる。

業界、同人、社内の人間関係などなど
閉ざされた環境の内部だけで生きていると
澱んだ空気によって、茹でカエルのように感性のセンサーを
鈍らせてしまう。

外に出よう。
新しい風に吹かれよう。


5.人間は忘れる

大切な情報を忘れることは怖い。
しかし、人間の脳内の許容量には限界がある。

人間は忘れる生き物であることを許容してしまおう。
忘れたことは恥ずかしくない。
「ごめん。それ忘れちゃった。なんだっけ?」と
また教えてもらえばいいだけのことだ。

いまは脳の延長として、あるいは外部記憶装置として
PCやスマホなどのガジェットや、インターネットの
クラウドによるストレージがある。
活用しよう。

とにかく情報は、ツイッターでつぶやいてTwilogにスクラップするとか
ブログやフェイスブックに投稿しておけばいい。
(フェイスブックの検索はいまいち使いにくいけれど)
とりあえず投稿しておけば、忘れちゃっても構わない。
気になったときに検索すればいいのだから。

検索して過去に自分が書いた記事を読み直すと
「え?これほんとに自分が書いた文章?」と
まったく書いたことを忘れていて、新鮮な気持ちになることもある。

過去の自分に出会うと新鮮な驚きがある。
忘却に感謝したい。

+++++

55a8792f6b3c74e2c0a5a3f7326dcedc_s.jpg無理に情報を吸い込むこともなく
いたずらにアウトプットの頻度にこだわることもなく
自然に、情報を呼吸したい。

穏やかに
吸って吐いて、また吸って
吐くことを繰り返して生活していきたい。

窓(Windows)を開けると
そこにはいつも新しい世界が拡がっている。
新鮮な空気がある。

気持ちを静めて
新鮮な情報という空気に触れていたい。

(外岡 浩)

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